👂中耳炎をくり返すお子さんに、漢方という選択肢
👂中耳炎をくり返すお子さんへ
〜十全大補湯という漢方薬について〜
お子さんの中には、
「かぜをひくたびに中耳炎になる」
「治ったと思ったら、また耳が痛くなる」
「何度も抗菌薬を飲んでいる」
というように、中耳炎をくり返してしまうことがあります。
このように、急性中耳炎を何度もくり返す状態を
反復性中耳炎といいます。
小さなお子さんは、耳と鼻をつなぐ管がまだ未熟なため、鼻水が続くと中耳炎になりやすくなります。
特に、保育園や幼稚園に通い始めた時期は、かぜをもらいやすく、中耳炎をくり返すことがあります。
🌿十全大補湯とは?
十全大補湯は、体の元気を補うために使われる漢方薬です。
たとえば、次のようなお子さんに使うことがあります。
✅ かぜをひきやすい
✅ 中耳炎をくり返す
✅ 食が細い
✅ 疲れやすい
✅ 体力が落ちやすい
✅ 治ってもすぐにまた体調を崩す
十全大補湯は、直接「耳の痛みをすぐに止める薬」ではありません。
どちらかというと、中耳炎をくり返しにくい体づくりを助ける薬です。
反復性中耳炎への効果について
反復性中耳炎に対する十全大補湯の有用性については、国内でも研究が行われています。
厚生労働科学研究の報告では、反復性中耳炎に対して、抗菌薬治療だけでなく、患児の免疫能などの内因に注目した治療として十全大補湯が検討されています。
また、小児反復性中耳炎を対象とした報告では、十全大補湯投与後に急性中耳炎の罹患頻度が減少したとされています。2024年の単施設研究では、12週間の投与により、急性中耳炎の発症頻度が有意に減少したと報告されています。
ただし、漢方薬は「飲めば必ず中耳炎にならない」という薬ではありません。
鼻水の治療、耳の状態の確認、必要時の抗菌薬治療、生活環境の調整などと組み合わせて、総合的に治療していくことが大切です。
👶どんなときに使うの?
当院では、次のような場合に十全大補湯を検討します。
🌼 何度も急性中耳炎になる
🌼 かぜをひくたびに中耳炎になる
🌼 抗菌薬をくり返し使っている
🌼 鼻水が長引きやすい
🌼 保育園・幼稚園に通い始めてから中耳炎が増えた
🌼 体力や食欲が少し弱いタイプのお子さん
ただし、すべてのお子さんに使うわけではありません。
年齢、体重、症状、体質、お腹の調子などを見ながら、医師が必要かどうかを判断します。
💊抗菌薬とは違うの?
抗菌薬は、細菌による感染をおさえるためのお薬です。
急性中耳炎で必要な場合には、抗菌薬を使うことがあります。
一方、十全大補湯は、細菌を直接やっつける薬ではありません。
イメージとしては、
抗菌薬:今起きている中耳炎を治すためのお薬
十全大補湯:中耳炎をくり返しにくくするための体づくりのお薬
という違いがあります。
そのため、十全大補湯だけで治療するのではなく、耳や鼻の状態を見ながら、必要な治療を組み合わせていきます。
🤧鼻水の治療も大切です
中耳炎は、耳だけの病気と思われがちですが、実は鼻水と大きく関係しています。
鼻水が多い状態が続くと、耳と鼻をつなぐ管を通って、耳の中に炎症が起こりやすくなります。
そのため、反復性中耳炎では、
✅ 耳の診察
✅ 鼻水の治療
✅ 鼻の吸引
✅ 必要に応じたお薬
✅ 体調を整える漢方薬
などを組み合わせて治療していきます。
⚠️副作用はあるの?
十全大補湯は、子どもにも使われることがある漢方薬ですが、副作用がまったくないわけではありません。
まれに、
・お腹がゆるくなる
・食欲が落ちる
・吐き気
・発疹
・むくみ
・血圧の変化
などがみられることがあります。
服用中に「いつもと違うな」と感じることがあれば、自己判断で続けずにご相談ください。
また、他の漢方薬を飲んでいる場合は、成分が重なることがあります。
現在飲んでいるお薬がある場合は、診察時にお知らせください。
🏥当院での考え方
中耳炎をくり返すと、お子さん本人もつらいですが、ご家族にとっても大きな負担になります。
「また熱が出た」
「また耳が痛いと言っている」
「抗菌薬ばかりで心配」
「鼓膜チューブをすすめられたけど、ほかの方法も相談したい」
このようなお悩みがある場合は、一度ご相談ください。
当院では、耳の状態だけでなく、鼻水の様子、かぜのひきやすさ、食欲、体力、通園状況なども確認しながら、お子さんに合った治療を考えていきます。
十全大補湯は、反復性中耳炎に対する治療の選択肢のひとつです。
お子さんの状態に合わせて、無理なく続けられる治療を一緒に考えていきましょう。
